2020.08.03 ブログ
新型コロナウイルスによる航空機リースへの影響
著名投資家であるウォーレン・バフェット氏が、今回のコロナによって、航空会社株をすべて売却したことは、既報の通りですが、コロナの影響が航空業界にどの様に影響を与えているかを解説させて頂きたいと思います。
十数年前から日本においては、航空機のオペレーティングリースは、企業の決算対策や相続税の株価対策で販売されていました。こちらの仕組みは、利益が出ている会社がこの航空機のオペレーティングリースに出資することにより、出資額を限度に損金計上が出来るのです。契約内容にもよりますが、これらの節税商品は、大方初期に多額の減価償却等で損金を作り、リース料と最終的な売却益で益金を作り、最終的には、投資した額の大部分が回収されるという仕組みです。昔は、こちらが投資した額以上の損金が作れれば、その損金の全額を損金として、取り込む事が出来たため、節税効果が大きかったのですが、平成17年度の税制改正において、出資額を限度として、損金算入を認めるような改正が行われました。
実は、LCCの航空機は、このオペレーティングリースによって、成り立っているケースが殆どです。航空機業界は、今、コロナの影響により利用客が大幅減です。あるLCCの会社は、利用客がコロナ前と比べて9割減との事です。この様な状況で、リース料を支払えない会社が増えていきます。そうなれば、航空会社破綻→航空機リース会社破綻→節税目的で出資した会社が投資した金額が戻ってこなくなるリスクも生じました。いろいろな見方があるかとは思いますが、節税商品というと、あまり良いイメージを持たれないこともあるかもしれませんが、こちらに関しては、お金余りの会社の財源を使って、格安航空機LCCの実現に役立っていると考えれば、良いお金の流れのようにも思えます。ただ、今回のコロナの状況で、この仕組みに歪みが生じる可能性が出てきました。今後の状況によっては、持ち直す可能性も十分ありますので、今後の航空機リースの動向を注視していきたいと思います。