2021.07.05 ブログ
小規模宅地等の貸付事業用宅地等に対する平成30年度の税法改正
小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす土地を相続した場合に、相続財産の評価減を取れます。土地の種類に応じて、50%か80%の評価減になります(相続財産評価額の50%か20%での評価になります。)ので、かなり相続財産を圧縮する事が出来ます。なぜこの様な評価減が行われるかといえば、たとえば、特定居住用宅地等を例にとると、被相続人が住んでいた土地を同居しているその子供が相続した場合に、相続税が課されても、土地や建物しか相続財産が無い場合には、土地や建物を売って、相続税を捻出する必要性が出てきてしまいます。そうなると、その子供は現在の住居を売ることになるので、住む場所がなくなってしまいます。そういう状況を勘案して、居住用住居を相続した場合に、一定の要件を満たせば、相続税を優遇しようというものです。こういった政策的な配慮によるものです。この小規模宅地等の特例のうち、貸付事業用宅地等について、平成30年度の税制改正で相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等については、適用除外とされる改正が行われました。
目次
小規模宅地等の特例の種類
※国税庁ホームページより
小規模宅地等の特例の対象となる特例対象宅地等とは、個人が相続又は遺贈により取得した宅地等のうちに、当該相続の開始の直前において、次の1.被相続人等の事業用宅地等又は2.被相続人等の居住用宅地等に示されている被相続人等の事業用宅地等又は居住用宅地等の区分に応じて、それぞれに掲げる宅地等をいいます。また、1.被相続人等の事業用宅地等については、その事業の内容によって、上記表の区分に応じて、それぞれの限度面積及び減額割合が適用されることになります。
1.被相続人等の事業用宅地等
被相続人等の事業(事業に準ずるものとして、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものを含みます。)の用に供されていた宅地等で一定の建物又は構築物の敷地の用に供されていたもので一定の要件に該当するもの
2.被相続人等の居住用宅地等
次に掲げる①又は②の宅地等で、一定の建物又は構築物の敷地の用に供されていたもので一定の要件に該当するもの
① 被相続人等の居住の用に供されていた宅地等
② 居住の用に供する事が出来ない一定の事由により相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかった場合(一定の用途に供されている場合を除きます。)における当該事由により居住の用に供され亡くなる直前の当該被相続人の居住の用に供されていた宅地等
貸付事業用宅地等に対する平成30年度の税制改正の概要
平成30年度の税法改正では、貸付事業用宅地等について、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等をその対象から除くこととされました。ただし、相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等の当該貸付事業の用に供されたものについては、3年以内に貸付事業の用に供されたものであっても、その対象から除かれないものとされています。これらの改正は、平成30年4月1日以後に相続又は遺贈により取得した小規模宅地等についての相続税の課税特例に規定する宅地等に係る相続税について適用されます。
本則と経過措置
こちらの改正の適用時期については経過措置が設けられており、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得する宅地等に係る貸付事業用宅地等の規定の適用については、上記改正について『相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等』とあるのは、『平成30年4月1日以後に新たに貸付事業の用に供された宅地等』と読み替えて適用します。図解すると、上記のような形になります。令和3年4月1日前の相続の場合は、貸付日が平成30年4月1日前か以後かによって、取り扱いが変わってきます。令和3年4月1日以後の相続については、3年貸し付けてからでないと、本規定の適用を受ける事が出来ないという事になります。