2021.07.26 ブログ
令和3年度税制改正 国外財産に対する相続税緩和
令和3年度税制改正で、国外財産に対する相続税・贈与税の納税義務が見直されます。就労等のため一定の在留資格を有して日本に居住している外国人が死亡等(外国人被相続人等)して、母国に住む家族等が取得した国外財産は日本居住期間にかかわらず課税対象外となるという改正が令和3年4月1日以後の相続及び贈与から適用されることとなりました。
目次
国外財産に対する相続税の基本
相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した個人は、上記図の区分に応じて、取得した財産の全て、又は取得した国内財産につき、相続税が課税されます。上記図の中の被相続人及び相続人等の国籍・住所は、相続開始時における現況で判定します。無制限納税義務者は、国内財産及び国外財産全てに課税される人を無制限納税義務者とし、国内財産のみ課税される人を制限納税義務者とします。
日本には、一時的な居住で、就労等が終われば母国に帰国する予定だが、居住期間が10年を超える外国人に相続等が発生すると、国外財産にも課税されてしまう課税リスクが存在していたため、令和3年度税制改正において、緩和する方向性へと改正が行われた。
在留資格があれば外国人被相続人の日本居住期間を問わなくなった~令和3年度税制改正~
改正後は、一定の在留資格を有していれば、外国人被相続人等の日本居住期間にかかわらず、国外財産は対象外となります。ここで言う一定の在留資格とは、出入国管理及び難民認定法別表第一上欄のもの。現行と同様に、永住者や日本の配偶者等の在留資格は、除かれます。
例えば、経営・管理の在留資格を有して日本に12年居住するAが死亡し、Aの母国であるB国に住む子Cが、相続により国外財産を取得した場合を想定すると、国外財産については、現行ではAの日本居住期間が10年超なので、課税対象となりますが、改正後では、Aの日本居住期間にかかわらず、国外財産は課税対象外となります。