2026.05.27 ブログ
配偶者居住権の活用
「夫が亡くなったら家を出なきゃいけないの?」配偶者居住権でその不安を解消
突然の相続。悲しみが癒えないうちに「この家、どうなるの?」と心配になる方は少なくあ りません。そんな配偶者の不安を守るために生まれたのが「配偶者居住権」です。 2020年4月から始まったこの制度、聞いたことはあっても「難しそう…」と感じていませんか? この記事では、できるだけわかりやすくご説明します。
まず、どんな問題があったの?
たとえば、夫が亡くなり、遺産が「自宅(2,000万円)」と「預貯金(1,000万円)」の合計3,000万円あったとします。法定相続分(配偶者1/2)では、配偶者は1,500万円分を相続できます。
でも、「自宅(2,000万円)」を相続しようとすると、すでに1,500万円を超えてしまいます。つまり「家に住み続けたいなら、現金はほぼもらえない」という、とても辛い選択を迫られていたのです。
老後の生活費はどうする?病院代は?——そんな切実な問題を抱える配偶者を守るために、法律が変わりました。
配偶者居住権って何? ひと言でいうと?
「家の所有権」と「住む権利」を切り分ける制度です。
たとえば、自宅2,000万円を「住む権利(800万円)」と「所有権(1,200万円)」に分けたとします。配偶者は「住む権利(800万円)」だけを相続する。残りの1,200万円分と預貯金1,000万円は子どもたちで分ける——こんなイメージです。
こうすることで、配偶者は住む場所を確保しながら、生活費の現金も手元に残せるようになりました。
「短期」と「長期」の2種類があります
① 配偶者短期居住権(手続き不要・自動で守られる)
相続が始まった直後から、遺産分割がまとまるまでの間(最低6か月)、配偶者は無償で自宅に住み続けられます。特別な手続きは必要ありません。法律上、自動的に保護されます。
② 配偶者居住権(長期・生涯住める)
こちらは、亡くなるまでずっと(または決めた期間)住み続けられる権利です。遺産分割の話し合いや遺言によって取得し、法務局で登記すれば第三者にも主張できます。
どんなメリットがあるの?
- ずっと今の家に住み続けられる——引っ越しを強いられる心配がなくなります。
- 生活費の現金を手元に残せる——老後の医療費・生活費に充てられます。
- 相続税が安くなる場合がある——居住権の評価額は所有権より低いため、課税対象が減ることがあります。
- 子どもへの引き継ぎもスムーズ——配偶者が亡くなれば居住権は自動で消え、子どもが完全な所有権を持ちます。
気をつけたいこと(デメリット)
- 家を売ったり貸したりはできない——居住権は「住むための権利」なので、売却や賃貸はできません。
- 修繕費は自分で負担——水道や設備が壊れたときの修理代などは、住んでいる配偶者が負担します。
- 子どもとの話し合いが必要——所有権を持つ子どもと協力関係を保つことが大切です。
- 計算が複雑——居住権の評価額は年齢や建物の状況によって変わるため、専門家への相談が必要です。
どうやって手続きすればいい?
長期の配偶者居住権を取得するには、主に3つの方法があります。
- 相続人全員で話し合い(遺産分割協議)——一番よくあるケースです。全員の同意が必要です。
- 遺言書に書いておく——被相続人(亡くなる前の方)が遺言で「配偶者に居住権を与える」と書いておく方法です。
- 家庭裁判所に申し立てる——話し合いがまとまらない場合は、裁判所に判断してもらいます。
決まったら、忘れずに法務局で登記しましょう。登記をしておかないと、たとえば家が第三者に売られてしまった場合に「住む権利」を主張できなくなります。
まとめ:「住む場所」と「生活費」を両立できる制度です
配偶者居住権は、大切な人を亡くしたあと、住み慣れた家で安心して暮らし続けるための制度です。うまく活用すれば、老後の生活費も確保しやすくなります。
ただし、評価額の計算や登記の手続き、家族間の調整など、自分だけで判断するのは難しい部分も多くあります。相続専門の弁護士・司法書士・税理士に早めに相談することが、トラブルを防ぐ一番の近道です。
「うちの場合はどうなるの?」と思ったら、ぜひ一度、弊事務所に話を聞いてみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的・税務的アドバイスではありません。具体的な手続きについては専門家にご相談ください。


